① 心不全(右・左単独,両心不全の場合あり) ② 最大限の内科的治療によってもNYHA/WHO機能分類: Ⅲ~Ⅳ度の場合 ③ 臓器障害(肝腎機能障害)が認められるようになった場 合 ④ 難治性の致死的不整脈 ⑤ 頻回の喀血(気管支動脈栓塞術無効例)
1)絶対的除外条件 a)肝臓,腎臓の不可逆的機能障害 b)活動性,全身性感染症 c)薬物依存症(アルコールおよびニコチン依存症を含む) d)悪性腫瘍 e)HIV抗体陽性 2)相対的除外条件 a)肝臓,腎臓の可逆的機能障害 b)活動性消化性潰瘍 c )合併症を伴ったインスリン依存性糖尿病 d)高度胸郭変形や胸膜に広範な癒着や瘢痕 e )高度筋・神経疾患 f )極端な低栄養または肥満 g) リハビリテーションが行えない,またはその能力が 期待できない症例 h)本人および家族の理解と協力が得られない I )精神社会生活上に重要な障害
【肺移植相談のガイドライン】 ① 可能なかぎりの内科的治療にもかかわらずNYHA3度 以上 ② 急速な病状の進行 【肺移植適応のガイドライン】 ① 可能なかぎりの内科的治療にもかかわらずNYHA3度 以上 ② 6分間歩行距離が350m未満 ③ エポプロステノールの持続点滴に不応 ④ Cardiac index(CI)<2.0L/min/m3 ⑤ 中心静脈圧>15mmHg
1)適応疾患 移植以外では救命ないし延命の期待が持てない以下の重症疾患である ① 不可逆的心機能低下を伴うIPAH/HPAH:心機能低下がどの時点で不可逆的なるかという閾値はまだ知られていないため,施設ごとに基準が異なっている3).総じて,左室駆出率が35もしくは45%未満206),致死的な不整脈が認められる場合には,肺移植ではなく,心肺移植の適応と考える.
② 肺高血圧を伴う先天性心疾患(Eisenmenger症候群)で外科的修復が困難か,心機能低下を伴うもの:心機能が保たれていて,先天性心疾患を修復可能な場合には,両側肺移植または片肺移植と先天性心疾患修復の併用手術の適応となる.一方,心内修復の際に大動脈遮断が1時間以上かかることが予想されるような複雑心奇形(両大血管右室起始症,完全大血管転位など)や,Fontan型手術しかできない先天性心疾患(単心室など)は心肺移植の適応となる207)-209).ただし,subaortic VSDを伴った両大血管右室起始症などは,術者の判断によって心内修復と両側片肺移植の適応となる210),211).提供臓器数のことを考えなければ,Eisenmenger症候群では,VSDでも心肺移植の方が肺移植より予後がよいと報告されており,今後も適応基準には変遷があると考える212).