肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Treatment of Pulmonary Hypertension(JCS2012)
 
 肺高血圧症の臨床症状に基づく重症度分類として,表5に示したNYHA機能分類とWHO肺高血圧症機能分類の両者が用いられ,それぞれの分類で各重症度レベルの内容はほぼ同一である.そこで本ガイドラインでは前回のガイドラインに準じ,肺高血圧症の機能分類として,NYHA機能分類とWHO肺高血圧症機能分類を組み合わせてNYHA/WHO肺高血圧症機能分類として用いることとした.
13 肺高血圧症の機能分類
表5 肺高血圧症機能分類
NYHA心機能分類
 Ⅰ度:通常の身体活動では無症状
 Ⅱ度: 通常の身体活動で症状発現,身体活動がやや制限さ
れる
 Ⅲ度: 通常以下の身体活動で症状発現,身体活動が著しく
制限される
 Ⅳ度:どんな身体活動あるいは安静時でも症状発現
WHO肺高血圧症機能分類
 Ⅰ度:身体活動に制限のない肺高血圧症患者
      普通の身体活動では呼吸困難や疲労,胸痛や失神
など生じない.
 Ⅱ度:身体活動に軽度の制限のある肺高血圧症患者
      安静時には自覚症状がない.普通の身体活動で呼
吸困難や疲労,胸痛や失神などが起こる.
 Ⅲ度:身体活動に著しい制限のある肺高血圧症患者
      安静時に自覚症状がない.普通以下の軽度の身体
活動では呼吸困難や疲労,胸痛や失神などが起こ
る.
 Ⅳ度:どんな身体活動もすべて苦痛となる肺高血圧症患者
      これらの患者は右心不全の症状を表している.安
静時にも呼吸困難および/または疲労がみられ
る.どんな身体活動でも自覚症状の増悪がある.
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