肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Treatment of Pulmonary Hypertension(JCS2012)
 
 肺高血圧症においては,これまで運動耐容能の測定を行うことにより,疾患重症度と生命予後を評価する手法が用いられてきた.

① 6 分間歩行距離(6 minutes walk test: 6MWT)


 6分間歩行距離は最大酸素消費量と良好な関連があり40),この指標が332m未満40),250m未満41),10%を超える酸素飽和度の低下42)では予後不良であるとの報告がある.本法は簡便であり方法が標準化されているため,従来から大半のPAHに対する治療薬の臨床試験では6分間歩行距離を主要なエンド・ポイントとしていた.

② 心肺運動負荷試験(cardio pulmonary exercise test: CPX)

 CPXで最大酸素消費量が10.4 mL/min/kg以下かつ最大収縮期圧が120mmHg以下の症例は予後が不良であることが報告されている43).ただPAHを対象とした研究では6分間歩行距離と最大酸素消費量の相関度はCPXを実施する施設ごとの技術的熟練度に依存することも指摘されているので注意が必要である44)
12 運動負荷
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