肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Treatment of Pulmonary Hypertension(JCS2012)
 
 PAHでは血管内皮細胞の過形成による内膜肥厚に加え,中膜や外膜の肥厚・過形成も特徴であり,無秩序な増殖が観察される65). 最近, 血小板由来成長因子platelet-derived growth factor(PDGF)が治療のtarget として注目を浴びてきた.IPAHでは,PDGF-BとPDGF-受容体α,βmRNAの発現が小動脈で有意に亢進している.またremodeling病変部位では,平滑筋細胞(SMC)や内皮細胞(EC)でPDGF-A,-Bの免疫染色が陽性である.SMCではPDGF-R α,βが染色され,そして基礎実験では抗PDGF作用を示す imatinib が肺血管由来細胞の増殖抑制作用を示すことが明らかになっている66).IPAHでは循環中と血小板の血管内皮成長因子 vascularendothelial growth factor( VEGF)も増加している67).さらに, 表皮成長因子受容体epidermal growth factorrecptor( EGFR)がモノクロタリン誘導性PAHモデルにおいては angiogenesis の役割を発揮している報告がある68)
4 内膜肥厚と成長因子
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