PAHの重症例にみられる叢状病変(plexiform lesion)ではアポトーシス抵抗性を示す内皮細胞の活発な増殖像が確認されている.血管壁細胞の異常増殖の背景には,transforming growth factor(TGF)-β受容体のsuperfamilyの一つであるbone morphogenetic protein receptor type IIの遺伝子(BMPR2)や,activin like kinase(ALK)1をコードするACVRL1遺伝子,endoglinをコードするENG遺伝子,さらに細胞内シグナルであるSMAD 遺伝子などの細胞増殖調節経路の異常に加え,修飾遺伝子であるセロトニンの輸送蛋白質( 5-HTT)のプロモーター領域の遺伝子多型,ACEやeNOSの遺伝子多型の異常などが報告されている.