肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Treatment of Pulmonary Hypertension(JCS2012)
 
 PAHの本体は, 微小肺細小動脈(microscopically small pulmonary arteriole)の,機能的というよりもより器質的な狭窄・閉塞である.近年,その機序の一つとして,“血管壁細胞のアポトーシス抵抗性獲得と異常増殖”という“腫瘍性増殖説”が登場した55).すなわち細胞の分化・成長・増殖の調節異常が血管壁肥厚と内腔狭窄の主なメカニズムと考えられる,いわゆる“misguided angiogenesis”的理論である59).多くの血管収縮物質には同時に“細胞増殖・マトリックス増成による血管壁肥厚”作用があることが分かっている.一時的な過収縮状態が先行するか,または緩やかに“血管壁の硬化・弛緩不全”が進行した結果,肺血管床全体の肺血管抵抗が上昇する.おおむね70%以上の血管床が障害されると肺血圧が上昇するとされている.
2 調節不能な内皮細胞増殖
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