肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Treatment of Pulmonary Hypertension(JCS2012)
Ⅲ 厚生労働省特定疾患における肺高血圧症
特定疾患とは,いわゆる「難病」の中で,厚生労働省が実施している難治性疾患克服研究事業の臨床調査研究分野の対象に指定された疾患であり,2011年3月31日現在,対象は130疾患である.厚生労働省の定める特定疾患とは,診療報酬の医学管理などにおいて特定疾患療養管理料としての請求対象の特定疾患ではない.
我が国では,いわゆる難病の中でも積極的に研究を推進する必要のある疾患について,調査研究,重点的研究,横断的研究からなる難治性疾患克服研究事業を行っている.対象となる疾患は,厚生労働省健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会において検討の上決定されている.この中で,特に治療が極めて困難であり,かつ,医療費も高額である疾患について,医療の確立,普及を図るとともに,患者の医療費負担軽減を図る目的で,都道府県を実施主体として特定疾患治療研究事業が行われている.対象は2011年3月31日現在56 疾患である.特定疾患治療研究事業の対象疾患については,医療費の患者自己負担分の一部または全部について国と都道府県による公的な助成(公費負担医療)を受けることができる.
特定疾患治療研究事業の中で,肺高血圧症との関係が強いと推定される疾患を下記に挙げる(疾病番号とされている番号を記載するので,順不同になっている).
ただし,これ以外の疾患でも肺高血圧症の合併ないしは併存はあり得る.
39. 肺動脈性肺高血圧症
43. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症
4. 全身性エリテマトーデス
9. 強皮症,皮膚筋炎および多発筋炎
34. 混合性結合組織病
36. 特発性間質性肺炎
53. リンパ脈管筋腫症(LAM)