肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)
Guidelines for Treatment of Pulmonary Hypertension(JCS2012)
 
肺血管壁の血管内皮細胞・平滑筋細胞の無秩序な
増殖によるremodeling とアポトーシス抵抗性
変性
アポトーシス抵抗性
腫瘍性増殖
炎症
Remodeling
エンドセリン-1 血管壁再構築
セロトニン
NO 合成酵素
ACE
K・Ca チャネル異常
上皮成長因子(EGF)
血管内皮新生因子(VEGF)
血小板由来成長因子(PDGF)
プロスタサイクリン
トロンボキサン
TNFa 腫瘍壊死因子
アンギオテンシンⅡ
アンギオポエチン
MMP 活性
Tenascin-C
elastase 異常 ROS
酸化ストレス
Survivin,HHV-8,HCV,
IL-1,IL-6,MCP-1(CCL2),MIP-1a,P-selectin,
CX3CL1,CX3CR1,RANTES(CCL5),
T 細胞転写因子(NFAT),etc.....
 TRPC6チャネルのmutationにより血管SMC内Ca濃度の上昇に伴う細胞増殖機講も発表された.食欲減退薬PAHの原因の一つであるKvチャネル異常に加えてCaチャネルのSNP異常が報告されている.今後は受容体経路から細胞内signalの異常,そして核内NF-κBの活性化による,アポトーシス抵抗性という異常な細胞増殖へのシナリオが完成するのであろう73).HHV-8 ウイルス感染説は現状では否定的である74)

 治療薬からみたPAHの焦点は図4に示す,肺血管の炎症と増殖を主にした経路である.これらの薬物療法の作用点から,新たにPAHの発症・進展のメカニズムが考えられる.遺伝子学的な発症のriskを持つ個人から浸透率10~ 20%で発症するとされるPAHの原因はやはりheterogenousであり,必然的に治療にも多くの選択肢があると考えられる.
6 その他
図4 肺高血圧症の治療ターゲット
Ⅰ 総論 > 6 肺高血圧症の病因 > 6 その他
目次へ